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ペイメント技術はどこへ向かうのか

ペイメント技術はどこへ向かうのか


future of payment tec

ペイメント技術は、シームレスなトランザクションと、利用者のためのさらなる使い勝手向上を目指し常に進化を続けています。

次のような分野に、ペイメント技術の未来はあると言えます。

  • NFC(近距離無線通信)
  • ボイスコマース
  • 暗号通貨(クリプトカレンシー)
  • AI(人工知能)

磁気ストライブ vs ICチップ

クレジットカードやデビットカードの裏にある磁気ストライプは、皆さんもなじみがあるでしょう。では、それをICチップカードと比べたとき、技術的な違いはなんでしょうか。 まず、磁気ストライプ上のデータは静的で、変わることがないものです。 そのため、詐欺行為に対してかなり脆弱です。不正なトランザクションを作出したり、情報データを闇サイトで販売することさえできます。

以前は、加盟店は、手動のクレジットカードインプリンタを使っていました。プリンタのバーをレシートの上に置いて、 読み取ったカード番号を印刷していたのです。 紙のレシートはその後郵送されるので、認証には数日かかったものです。 当時泥棒がやっていたのは、紙のレシートをゴミ箱に捨てて、認証待ちの日数のうちにそのカード番号で偽の取引をでっち上げることでした。 本に名を残す泥棒もいます。「The Man Who Loved Books Too Much(本を愛し過ぎた男」(Allison Hoover Bartlett)は、カーボンコピーの レシートを悪用した泥棒の実話です。

磁気ストライブの技術は、2つの既存の技術から生まれています。電話と、オープンリールテープレコーダに使われてきた磁性テープです。 カードの裏に、細い磁気ストライプが付いています。磁気には電話番号が組み込まれ、カードをスワイプすると発信され、トランザクションが完了するのです。

しかし、この技術を使っていると、磁気ストライプ上のデータを盗んで偽カードを作ることができるということが分かりました。 磁気ストライプの進歩にもかかわらず、データは簡単に盗まれ、そのデータを使って偽造カードが作られたのです。 その結果、21世紀になるとすぐ、ヨーロッパ諸国では、カード情報を守るためにEMV規格が導入されました。 米国は、不正使用が増え続けている中、最近やっと追いつき始めたところです。 世界的に有名な決済関連レポート「ザ・ニルソン・レポート」は、2002年、加盟店とカード発行銀行は共同で53億ドルの支出をしていると報告しています。

2015年10月1日、金融界は、債務責任の移行(ライアビリティ・シフト)を課すことを合意しました。 これは、EMV導入を行わない企業・団体に、債務責任を負わせようというものです。 唯一の例外は、米国ガソリンスタンドです。この業界だけは、2020年10月1日まで、EMチップV対応の猶予を与えられました。 VISAによると、米国ガソリンスタンド業界は、複雑なインフラと、給油機向けの特別な技術の上に成り立っているからとのことです。

EMV技術とは

EMVカードは、ICチップ搭載カード、スマートカードなどとも呼ばれていますが、その名のとおり、コンピュータのチップにアカウント情報を持っています。 EMVとは、Europay、MasterCard、Visaの頭文字で、2002年にこの規格に同意したクレジットカード会社3社を表しています。

EMVカードがEMVカードリーダのスロットに挿入されると、データはカード上のチップからカード発行主体へ送られ、カードの正当性が検証され、 一位のトランザクションデータが作成されます。 このプロセスは、磁気ストライプのスワイプより手間取ります。取出し可能になる前に抜いてしまうと、トランザクションが拒絶されてしまいます。 EMV導入の結果、米国では詐欺的不正使用の率が減少の傾向にあると、MastercardやVisaは報告しています。 2017年3月、Visaは、ICチップカード対応加盟店は、不正使用が前年に比べ58%減少したと述べています。2015年4月から16年4月までの期間、 Mastercardでは、EMV対応加盟店における詐欺的不正使用の被害額は54%減少しました。

決済のトランザクションは、磁気ストライプカードでもEMV対応カードでも、基本的に同じです。 情報がカードから読み出され、処理の正当性が検証されます。 しかし、磁気ストライプカードリーダが、スワイプした際の情報を読むのに対して、EMV対応カードリーダは、カードを挿入(この場合、差し込んだ)時、 タップした時、またはリーダにかざした時に読み込むのです。

米国銀行協会によると、大規模加盟店200社の98%以上がEMV対応をしており、その他の加盟店の大多数も対応済みとのことです。

しかしながら、EMV技術といえども不正使用から完全に守られるわけではありません。犯罪者が隠しカメラでカードの写真を撮った場合、 カード番号がオンライントランザクションの詐欺に使われる可能性はあります。詐欺戦線におけるこの新手の手法は、スキミングと呼ばれています。

カード発行会社の多くは、従来の磁気ストライプカードに替えて顧客にEMV対応カードを供与済みです。 それに比べ、加盟店の磁気カードリーダからEMV対応機器への移行はなかなか進みません。加盟店が対応した場合でも、 決済処理会社の非対応が、せっかくのリーダを無意味なものにしてしまう場合もあります。

技術は、顧客サービスを向上し、詐欺被害を減らすために進化しています。 磁気ストライプ技術は、いつかはEMV技術に完全に取って代わられるでしょう。 そして、EMV技術も、いつの日か、今日まだ発明されていない未来の技術にその座を譲ることでしょう。

ID TECH米国 元記事掲載日2019年1月14日